ぎっくり腰

重い物を持った拍子、床に落ちたものを拾おうとした時などに突然に腰がズキッと痛くなり動けなくなってしまう。そんな恐ろしいぎっくり腰、正式には、急性腰痛と言います。読んで字の如く急激に発症した腰痛を指し、欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれています。

 

ぎっくり腰は、何か物を持ち上げようとしたとき、腰をねじるなどの動作をしたときなど、腰部に負荷が加わったときに起こることが多いですが、朝起きた直後や特に何も覚えがないときにも起こることもあります。

 

ぎっくり腰は、痛みの程度に差はありますが、疼痛回避姿勢(痛みがでない姿勢)により、

立った時に腰が曲がるタイプ

立った時に比較的、腰が伸びているタイプ

この2つのタイプに分けることができます。

 

立った時に腰が曲がるタイプのぎっくり腰

立った時に腰が曲がるタイプのぎっくり腰は、疼痛回避姿勢が人体を横から見て腰を「くの字」に曲げた状態であり、座った状態から立つ時や寝返りなどの体位変換時に比較的、疼痛回避姿勢を取りやすい。立った時に腰が曲がり、自力で腰を伸ばすことができないのが特徴です。腰が伸びないことによって自然に疼痛回避姿勢を取りやすく、腰を大きく曲げると痛みは回避できます。(腰が曲がったまま歩くのは、つらいですが・・・)

 

このタイプは、腰が「くの字」に大きく曲がるような中~重度の場合でも治療効果は良好であり、治療期間も1週間程度、3~4回でほぼ良くなります。軽度のものだと1~2回です。

 

このタイプは、特に治療をしなくても安静にしていれば徐々に痛みは改善していくのですが、腰が十分に伸びない期間が1週間を超えてくると股関節周辺に痛みが及ぶことがあります。3週間以上、経過しても痛みが残ったり、腰が十分に伸びない場合は、治療を受けることをお薦めいたします。

 

立った時は比較的、腰が伸びているタイプのぎっくり腰

立った時は比較的、腰が伸びているタイプのぎっくり腰は、疼痛回避姿勢が、人体を正面からみて「S字」の状態であり、この「S字」の角度が、微妙で取りづらく、体位変換時において痛みが起こります。

 

立った時に腰が曲がるタイプのぎっくり腰に対してこちらは、疼痛回避姿勢が取りづらく中程度以上の場合では、寝返りや、寝た姿勢から座る時、座った状態から立つ時など体位変換時に激痛を伴います。

 

歩行については、体位変換時よりも幾分かは痛みの程度がやわらぐ傾向にあります。座った状態から立ちあがった時は強くいたみますが、しばらくして(数秒~十数秒)、「S字」の疼痛回避姿勢が取れれば、歩行時の痛みは少し楽になります。

 

立った時は比較的、腰が伸びているタイプのぎっくり腰は、軽~中程度以下の場合、1~2週間、3~6回でほぼ良くなります。しかし重度のものになると体位変換時の激痛を和らげるのが難しく、それをクリアするのに種々のアプローチ、治療法が必要な場合があります。